卒業式




小学校の卒業式は、やっと終わるって清々した気持ちだったけど、

中学は違う。


毎日頑張った部活

初めての親友


笑吉屋のベンチ




楽しい思い出がいっぱいで、


3年間を振り返ると、胸が熱くなる。



でも、涙は出なかった。

だって、茜とはこれからも会う約束をしているし、

これから通う高校は、隣の高校だし。



さみしくない。


悲しくない。




だから、笑顔で卒業式を終えることができた。



ただ、ひとつ心残りが........



凪くん.......








私は、凪くんにもう一度すぐに会いたかったから、

春休みになったら、毎日笑吉屋の前で、


凪くんを待ち伏せしようと決意していた。

高校に来ているのかも、


いつ来るかもわからないけど、


もう来ないかもしれないけど、

それしか方法がみつからなかった。




「くるみ、絶対春休みも遊ぼうね」


茜と校舎から出て、校門へと歩いた。



少し先を、茜のお母さんと私のお母さんが楽しそうに話しながら歩いている。



「うん」


「家に電話すればいい?」



「うん、ごめんね。私、携帯なくて。

家に電話してもらっちゃって」



茜は微笑みながら首を振った。



「そんなこと気にしなくていいの。


じゃあ、またね」



茜に手を振ると、お母さんたちも左右に分かれた。




お母さんと一緒に校門を出ると、


笑吉屋の前のベンチに、



見覚えのある背中が見えて思わず立ち止まった。





「凪くん.......]