__「送ってくれて、ありがとね」
時間が過ぎるのは早いもので、もう私の家に着いてしまった。
「ほんとにちけーな!なんかあったらすぐとんでけるわ」
どうしてキミは。
言われてうれしいことを、そんな簡単に言っちゃうかな。
「・・うん。よろしくね」
「おう!じゃーな」
爽汰は手をヒラヒラさせて、私に背を向けた。
それが、私にとってなんだかとても悲しいことで。
「まっ・・て」
気づけば、爽汰の服の袖をつかんでいた。
「ん?なに?」
爽汰は笑ってこちらを振り返った。
「いや、あの・・」
「ん?」
「今日は、ありがとう」
ほんとは、さびしかった。もっと一緒にいたい。そう言いたかった。
でもそんなのわがままで。
本当の彼女じゃない私が言えるわけもなかった。

