キミの宝物



「なんで?こんなことになってるのにほっとけるわけないじゃん!」


伊織は不思議そうに私の顔を見つめる。


「いいから・・。」


「愛果・・」



__「あれー、どうしたの?」



陽気な声が教室中に響きわたる。



そこには、ドアに手をかけて教室中を不思議な目で見渡す爽汰がいた。



「なんにもないよ?」



今まで黙ってたリーダー格の麗菜がとびきりの笑顔を作って爽汰の近くに寄った。卑怯な女。



「なんにもないわけねーよな?」



爽汰は、声のトーンをさげて麗菜の顔を見下した。


「えっ・・」


麗菜の顔からだんだん笑顔が消えていく。
よく見ると、麗菜の手が震えていた。


爽汰は、いつもキラキラ輝いてる笑顔で周りに接してた。
でも今の爽汰にはそんなかけらもない。
冷たい。凍りつくような眼で麗菜を見つめる。