キミの宝物



目が覚めると、もう夕日で保健室の中がオレンジ色で染まっていた。


「愛果さん、もう帰れる?」



保健室の先生は、心配そうに私の顔をのぞきこんできた。


「大丈夫です。」


「おむかえとか・・」


「1人で帰ります」


「そう。お大事にね」



1人にさせて。先生。


私は、ガラガラと重々しく保健室のドアをあけた。



部活も、もう終わっているのか校舎内や校庭にはもう誰1人いなかった。



ゲタ箱につき、靴を履こうとしたとき___



「おいっ」



「は、はいっ」



いきなり声をかけられて、びっくりして裏声になってしまった。



「ぷはっなんだその声」


振り向くと、お腹を抱えておもしろおかしく笑っている爽汰の姿があった。