「はぁ?」
そのうちの1人が私の顔を睨み返す。
でも、負けない。
「影で悪口言ってなにが楽しいんですか。しかも、爽汰のこと大して好きじゃないなら私に殴る権利とかないですよね」
怖いけど、震える拳を握り締めてきゅっと唇を噛んだ。
「あんた、殴られたいの?」
「そういう意味じゃないです。それに」
「愛果ちゃん。」
私の言葉を遮って、美律先輩は私の名前を呼んだ。
そこから少しの沈黙のあと、美律先輩は口を開いた。
「私、爽汰のことちゃんと好きだよ?」
パシッ
私は美律先輩の頬を叩いた。
その場の雰囲気が、騒然とするのがわかった。
でも、もう私の怒りを止めることができない。
「爽汰は美律先輩のことちゃんと好きなのに中途半端に軽々しく好きとか言わないでください!好きでもないのに付き合ってるとか意味分かんないし爽汰がかわいそうです。爽汰の気持ち、ちゃんと考えてください!」
私は怒鳴りながら、なぜか涙を流していた。
だって・・だって。
悪口を言ってる美律先輩の醜い顔と、爽汰のいつもの笑顔や嬉しそうな顔があまりにも反比例しすぎて。胸が苦しくなった。

