キミの宝物




でもそれから訪れるのは沈黙だけ。


どうなってるの?



おそるおそる目を開けると、先輩たちは手をおろして固まっていた。


2人の先輩の視線は、私の後ろにある。


私もその視線のほうに目を向けてみると、爽汰が走ってきていた。


道路をはさんで向こう側の歩道。


それでもわかる。爽汰の姿。



爽汰はガードレールを飛び越えて、そのまま車道を横切ろうとした。




「爽汰、だめっ!!!!」



私は叫べる限りの大きい声を出す。




「はぁ・・っはぁ・・愛果、どしたの?」



爽汰は無事私の目の前にいた。



まただ私。
過去のことを思い出して過剰に反応してしまう。