伊織は亮介の姿を発見すると、私の耳元で「お幸せに」とだけ言ってそそくさと帰ってしまった。
もう。そういうのじゃないのに。
「いこっか」
「うん」
私たちは、いつもどおりのきた道を帰る。
「今頃デートかよーずりぃなー」
亮介は口をとんがらせて、まるで萌菜みたいになっている。
「あぁ、そのことで爽汰に怒鳴っちゃったけどね」
苦笑しながらつぶやいた。
「はっ、まじ?!つか喋るんだ。興味ないとか言ってたのに」
「まぁーいろいろありまして。でも、あいつはどうも好きになれない。」
地面にあった小石を蹴った。
「ふーん。俺前ちょっとだけ喋ったことあるけど、普通にいい奴だったよ?男子にもいっつも笑顔ってゆーか。」

