「あの・・どうしたの?」
私はさっきからイラついた様子で貧乏ゆすりをしたウタに聞く。
「こいつさ、そそくさと帰ろうとしてて。ひきとめたら喧嘩になった」
「帰ろうとしてた・・?」
萌菜は亮介の顔をジッと見る。
亮介はうつむいた。
「なんで?メールでは了解って言ってくれたじゃん」
聞いても亮介は下を向いたまま何も言わなくなってしまった。
「だまってねぇで、さっさと言えよ。言いたいことあんだろ」
ウタはまた殴りかかりそうないきおいで亮介を睨みつけて言葉を言い放った。
「仲良くできるか怖かった」
亮介は唇を噛みしめて、まだうつむいたままだった。
「どういうこと?」
「おれ、愛果がいじめられててもなんにも助けてやれなかった。原因を作ったのは俺なのに。だから、会うのが怖かった」
「怖かったって逃げてんじゃねぇよ。お前また逃げてんのと一緒だぞ?」
「ウタ・・なにもいわなくていいよ」
「わかってんだよそれくらい。仲良くしてぇよ・・俺だって・・」
気づけば亮介は涙を流していた。

