「何、のんきに痴漢されてんだよ」
「あ、あ……」
「声あげろよ、馬鹿か?お前。それとも感じてたのか?」
「ち、違いますッ!!」

思わずでかい声が出てしまった。

「でかい声だすな、五月蠅い」
「スミマセン…ッ」
「で?なんで黙ってた」
「だ、だって……初めてで…ッ」
「はぁっ……だからお前は…………」
「え?」
「もういい」

白井さんはガリガリと頭を掻くと運よく空いていた座席に座った。
私はそんな白井さんを唖然とした表情で見ていた。

もしかして…心配してくれてたのか?
いや、これは自惚れすぎ??

でも……あの時の白井さん…かっこよかった。


目的地に着く間私はずっと白井さんの事で頭がいっぱいだった。