「それより」

佑気はゆきの顔をじっと見始めた。

「髪切ったでしょ?」

そう、ゆきはデートのために気合いを入れて美容院に行ってきたのだ。

「うんっ。変…かな?」

「全然。むしろかわいくなってる。
ま、ゆきはどんな髪型でもかわいいけどな。」

こういうことをサラッと言ってしまう男である。普段はクールで無口なくせに。

「もうっ佑気くんってば//そんなこと言っても何も出ないよ?//」

「え?なにも出ないの…?」

突然、佑気の整った顔が目の前に迫ってきた。
あと数ミリ、少しでも動けば唇がぶつかっちゃうくらい。

「何も、くれない、の?」

佑気の甘い息がかかる。

鼓動が大きくなる。