ゆきは待ち合わせ場所に着いた。
ちらっと時計を見ると、約束の時間を五分ほど過ぎている。


「ゆき!」

「あ!佑気くん!ごめんね、待った?」

「ううん。俺も今来たとこ!」

「そっか、それならよかった」

もちろん、嘘である。佑気は35分ほど前からここで待っていた。

しかし天然の天然であるゆきは、そんなことにも気づかない。

そんなところも可愛いな、と佑気に思わせてしまうのが、この女である。