「え、」
「・・・」
真剣な眼差しになんて言ったらいいのかわからない。
まるで教室にいるのは私達だけのように感じられた。
どうすればいいのだろう、と思っていると。
「なーんちゃって」
「・・・、」
急にニコリ笑いだす矢部君。
「あれ、もしかしてファーストキス?あちゃー。田松としてると思ってたんだけどな。わり」
そうだ。そうだ。その通りだ。
今のが紛れもなく私のファーストキスだ。
それなのに、コイツはいとも簡単に私の初めてのキスを奪い、ヘラヘラと笑い反省の色が見えない。
お前はアメリカ人かっ、と心の中でツッコムが虚しくその声は届かず始業のチャイムが校内に鳴り響いた。