鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ

あれから、お父さんは毎日ニコニコしてる。そして、いつ結婚するのかと聞いてくる。挙句は早く孫の顔が見たいとまで。自分は、結婚できなくなるというのに、どうしてニコニコしていられるの?

「お父さん、わかってる?私が、結婚したら、お父さんと冴子さんは結婚できないんだよ!」

それなのに、まったくもって私の話を聞こうともせずに、むしろ嬉しそう。確かに、私は恋愛経験も乏しいし、お父さんに彼氏なんて、一度も紹介したことがない。

でも、普通、父親っていうのは、娘に彼氏、ましてや結婚する相手が出来たら寂しくなるもんじゃないの?


「ふーん。まあそこはお父さんの反対もなくてよかったじゃない。それに時田課長なら美晴と合うと思うわ。あんなに目の色変えて怒鳴れる相手なんてそうそういないしね」

週末、お父さんが冴子さんと出かけ、なんとなく、一人になりたくなかった私は、課長を誘えるはずもなく、琴美を誘い出した。丁度、駅前に新しく出来た、多国籍料理の店に行きたいと思っていたのでランチはそこで。

やっぱり、土曜日のランチは個室もあることもあり、混んでいた。それでも二十分並んだ甲斐はある。テレビで見たバリ島のホテルのような景観に、ナシゴレン。リゾート気分を満喫出来る。また来よう。

「で、美晴はどうなのよ?時田課長のこと。まあ、分かりやすいからあんたは、聞かなくてもその顔と動揺でわかるけどね」



琴美には、すべてを話したからいろいろ相談しやすい。それにしても、私、そんなに顔に出るのね。「まあ、その通りかな」とナシゴレンを口にする。でも、それは私だけ。課長は、私のことなんて・・・。