鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ

「まるで、冴子さんのために、私と付き合うんですね?でも、私たちが結婚すれば、自分たちは再婚できないのに」

やばい。今のは、ちょっと嫌な態度だった。でも、今の課長の言葉がどうしても、冴子さん贔屓に聞こえてしまったから。

「なんだ、それ」

私の言葉、やっばり課長には皮肉に聞こえたんだ。いつもより、少し低めの声色。すみません、今のは言葉のあやで。そう言おうとしたら、思ってもみない返しが返ってきた。

「まるで、冴子にヤキモチでも焼いてるみたいな言い方だな。冴子は俺の母親だし、それに・・・俺の彼女は、お前だろ」

普通に話していたのに、最後のそのセリフだけは耳打ち。しかも、そのあとは、少しだけ照れたように笑うなんて、ズルイ。

ただでさえ、気になって仕方がないというのに、彼女だなんてそんな素振り、一度だって見せたことがないのに、そんなこと言って私の心を一気に全部持っていく。

「・・・さて、そろそろチャイムが鳴るぞ。午後からも忙しいだろうから、そのつもりでな!俺は、喫煙所寄って帰るから、先に帰ってなさい」

気がつくと、リフレッシュルームには、私たちしかいなくて、課長は、私の頭をポンポンと撫でた後、喫煙所に行ってしまった。本当に、午後から思い出して仕事が手につかないようなことばかりされた私は、結局、午後から課長を怒らせることになってしまった。