鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ

「俺もお前の合鍵持ってるから、お前にも渡すよ。同じソファにしたんだからここでもお前、寛げるようになったと思うしいつでも来ていいからな。お前は俺にとっては大事なやつなんだし」



「・・・ありがとうございます。合鍵いいんですか?遠慮なく貰っちゃいますね。あっ本当にご飯ごちそうさまでした」



合鍵を手にし、部屋を後にする。リビングでテレビを見ながら寛いでいた冴子さんに声を掛け、急いで家路に着いた。



走って30秒もかからない距離。ガチャガチャと急いでドアを開けた。




「・・・良かった。耐えれた」



ドアに凭れてズルズルと落ちていく身体。あたしの左手にぎゅっと握り締められたパンダにポツポツと落ちるあたしの涙。


ズルイよ、あたしこんなに苦しいのに。料理作るとか、合鍵渡すとかソファもあたしのために変えてくれたとか。期待するなっていうのが無理じゃん。



せっかく静佳さんに会って、気持ちを聞いて答えを見出せると思ったのにどうしてあたしのことこんなに振り回すの?




蹲り膝を抱え嗚咽を漏らしてそこで長い時間泣いていた。