僕の幸せは母が幸せになってくれることです。これから静佳さんと二人で助け合って幸せな家庭を築いて行こうと思っていました。


でも、その幸せな家庭に母がいなければ意味がない。僕をここまで育ててくれた母にこれ以上辛い思いをさせてまで静佳さんとは結婚できません。




悠貴はね、静佳ちゃんとご両親にそう言って深々と頭を下げたの。





あたしはそれを聞かされただけで苦しくて辛くて自分のことじゃないのにまた涙が溢れてきた。でも、これは悲しい涙じゃない。


悔しくて悔しくてたまらない涙。




なんで静佳さんのご両親はその本家のことを無視してまで静佳さんの幸せを叶えてあげなかったの?どうして静佳さんはそんな理不尽な理由を飲んだの?


好きで結婚しようと決めて二人でいろいろ考えていたこともそんな簡単に諦められるの?




そんな簡単に反対されたからって結婚を諦めるほど軽い気持ちで課長と付き合ってきたの?


聞けば聞くほど腹立たしい気持ちでいっぱいになる。