鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ

「・・・か、課長。あのそんなに見られてたら運転しづらいです」



「あっ、また課長って言った。ペナルティです」



ムニっと頬を摘ままれる。もう、運転してるのに危ない。ジロッと横目で睨みつけるといたずらっ子みたいな顔をして笑ってる。


本当、この人どこまでも少年みたいなんだから。音楽掛けていい?と聞かれ頷くとグローブボックスの中からあたしのCDを取り出す。


これにしよう。一枚を選んで曲が流れる。あっ、これはあたしのお気に入りの名曲コレクションCDだな。



「へえ、お前。こういうの聴くんだ」



「か、ゆ、悠貴さんも好きですか?」



「好き。なんか気分が盛り上がるよな。しばらく聴いてなかったけどまた聴きたくなってきたわ」



信号が赤になってまた軽く課長をチラ見する。気がついてないけど鼻歌なんて歌ってすっかり寛いでる。



意外にも歌が上手い。この歌手は好きだけど課長の歌声をもっと聴いていたくて気づかない程度にボリュームを落とした。楽しい。デートしてるみたい。



課長もドライブを楽しんでくれているみたいだし、やっぱり好きだな、この人のこと。