「まず…。ここは、私が経営する学校、青琳学園。以前までは男子校だったんだけど、少子化の影響で共学に変更したんだ。でも見ての通り、女子生徒の入学希望者は皆無。そんな中に夏海を入れるのは少し不安だが、私は我が校の生徒を信じている。可愛い我が子も同然だからね!」


それと、ぼそっと「それに、ここにいる方が目に届く範囲内だから」と言った。

…説明、というかなんというか。

どこにつっこんでいいのやら…。


「…で、なぜ理事長の娘はここに転校を?」


竜也くんの問いに、パパは困った顔をして私を見た。


理由は…、私の前の学校での生活。

言うか言わないかの判断は私にしかできない。

パパはそれを私に聞いているんだと思う。


「前の学校でね、ちょっとあったの。それで、どうしてもすぐに転校しなきゃいけなくなっちゃって。そしたら、パパのところに来ないかって」


ある意味、これは娘の特権。

でも、誘われるまではパパの仕事がなんなのかわからなかった。


パパとママは私が小さい頃に離婚している。

だからパパとは年に数回しか会えなかったし、私に仕事のことを話そうともしてくれなかった。

聞いちゃいけないのかなって思って私もしつこくは聞かなかったけど…、学校の理事長先生なら言ってくれてもよかったのに。