「明希は男だ。あれは女装」


………。

じょそう…?


「またまたぁ。竜也くんも私を騙そうとしてるの? え、この学校って、転校生の肝を試す行事とかやってる系? だって、あんな美人が男なわけないじゃーん!」

「…本人に聞けばわかるだろ」


話すのが面倒だと言いたげな口調で竜也くんは言った。

…やっちゃったかな、私。
でもこれが私だし、キャラ作ったって後々面倒になるだけだし!


「着いた。ここが理事長室」


そう言われ、私は目の前に立ちはだかる扉を見た。


…ここが、理事長室。

……この学校の、理事長がいる部屋――!!


「つかお前、何しに理事長に、」

「詳しく事情を聞こうか!!!!」



竜也くんが何か言いかけたけど、それどころじゃない!

本人がすぐ近くにいるって思うと、さっきまでの穏やかな気持ちはどこへやら!


乱暴に扉を開け、目を丸くして見つめる人に向かってずんずんと近づいた。

そして机に思いっきり手を付き、その人を睨み付けた。