「とりあえずさ、ご飯食べるからそこ座りたいんだけど?」


毒吐き美少年には強気でいこうと決めた。

そうでもしないとこの子には通じない気がする。


「やだ。僕は竜也の隣がいいんだけど」

「じゃあ向こうの席に行きなさいよ」

「やーだー。ここ、日も当たるしあったかいの。あんたが向こう行けば」

「自分の席をわざわざ譲って他の席に行く奴がいるか!」

「てゆーか、あんたここで食べる気?」

「それ以外にどこがあるっていうのよ」

「転校早々図々しいなあ。なんで僕が見ず知らずの女と食べなきゃいけないのさ」

「いちおうクラスメイトでしょ!?」

「あー。ったく、うるせえな」



私と慧太くんの言い合いを、眉間にしわを寄せながら聞いていた竜也くんがとうとう声を上げた。

食べていた弁当のお箸を置くと、私と慧太くんを鋭い目で見てきた。


「……私は正論を言っただけです」


と、自分は悪くないですアピールをしてみた。

慧太くんのきつい視線が飛んでくる。


だって、そうだもん。

自分の席でご飯食べようとして何がダメなのよ。


「慧太」


名前を呼ばれて、美少年はびくっと反応した。


「慧太は他の席に行け。席の持ち主が現れたのなら素直に譲れ」

「…」


慧太くんは嫌そうな顔をしながら、渋々と席を立った。


―――勝った!!

私は得意げに席につき、カバンの中からパンを取った。