――教室に帰ると同時に、授業終了の鐘が鳴った。


とたん、淳がハッと顔色を変えて走り出す。


「ちょっと、淳!?」

「昼休み開始の鐘やで!? 購買行かな!!」


そう言い残し、走り去っていってしまった。

明希ちゃんはため息をつき、教室に入った。


「そういえば、なっちゃんはお昼持ってきた?」

「うん、パン1個なんだけど、」

「あら! そんなんで足りるの!?」


明希ちゃんは口に手を当てながら、さっきよりも重いため息をついた。


「まったく、今時の女子高生って子は…」

「え、ご、ごめんなさい」


…前の高校ではそれが普通だったんだけどな。

食に関しては、男と女とでは量が違うんだろうけど。


「まあいいわ。どうせ淳が余計に買ってくるはずだから。先に食べちゃいましょ」


先に教室に入る明希ちゃんについて、私も教室に入った。


すると、私の席に慧太くんが座っていて、竜也くんと何やら喋っているようだった。

私が近づくのに気づき、露骨に嫌な顔をされる。


「なんか用?」

「用っていうか、そこ、私の席なんだけど」

「え、ここが? 竜也の隣とか、あんた竜也のこと狙ってるの?」

「だからなんでそうなるの!?」


この美少年は、どうにかしてでも私を男好きだと繋げたいらしい。

男好きなら明希ちゃんと一緒にいないでしょうが!!!

明希ちゃん男だけどさ!!