驚いている間に彼は彼は私の目の前に着地し、急に私の手を握りしめた。
「よろしゅうよろしゅう! 俺、篠田 淳いいますねん! 名前なんていうん?」
「あ…、綾塚 夏海です…」
「夏海ちゃんか、よろしゅうな! 俺のことは淳って呼びや!」
「う、うん」
なんか…、すごい圧倒される…。
いきなりのハイテンションで、加速が追いつかないというか…。
でも、すごい楽しそうな人だな。
淳は私の手を離し、そしてまじまじと見てきた。
「いやー、それにしても…。正夢ってあるんやなぁ」
「どんな夢を見てたのよ?」
「うちの学校、しかも同じクラスにめっちゃ美少女が転校してきて、俺と恋に落ちる夢や」
「は?」
私と明希ちゃんは、同じような顔で淳を見た。
『こいつ、何言ってるんだろう』
な顔。
明希ちゃんは可哀想な子を見るような哀れみの目を向けてるし、第一美少女って時点で正夢とは程遠いけど…。
「なな、夏海ちゃん。てことで、俺と恋せぇへん?」
「はい?」
「ほら、バカ言ってないでさっさと教室戻るわよ」
明希ちゃんは淳の襟を引っ張りながら言った。
「うへぇ」と言いながら引きずられる淳を見て、私は思った。
この人は、チャラ男なのかな。
と。



