階段を上がり、その突き当たりには屋上へのドアがあった。
明希ちゃんはそれを開けると外に出る。
そしてきょろきょろと見回したり、歩き回ったりした。
…どうやら、入れるみたい。
屋上でお弁当ってすっごい憧れてたから嬉しいな!
私も明希ちゃんに続いて屋上に出た。
日が暖かい。
思わず伸びをして、そして寝転がりたくなる。
すると、明希ちゃんは大きくため息をついた。
「淳ー!? いるのはわかってるのよ、早く出てきなさい!」
……返事はなかった。
「ったく…」
明希ちゃんは屋上の角にあるタンク置きらしきところの梯子を登った。
私もそれに続こうと登りたくなった。
でも……
がつんっっ!!!!
と、明希ちゃんが誰かを殴る音がしたからやめた。
「いっっ……てええ!!!」
「返事をしないと思ったら、どんだけ爆睡してるのよ! サボってんじゃないわよ!」
「ちょお、明希。もうちょい優しく起こしてぇな! バカになってまうで!?」
関西弁?
「もう手遅れだから平気よ。ほら、さっさと教室戻るわよ」
「ったく……。せっかくいい夢見てたのに…」
明希ちゃんが梯子から降り、その陰からは男が見えた。
……ばちっと目が合う。
寝ぼけ眼だった彼は一気に目を開いた。
「えっ!? 女子!? これまだ夢なん!!?」
「この子は転校生の、綾塚 夏海ちゃんで――」
―――明希ちゃんの紹介が聞こえてなかったのか。
突然消えたと思ったら、彼の姿が空中に浮かんでいた。
……え…、跳んだ…!!?



