青春ライラック




私は明希ちゃんに連れられて校内を回った。

他のクラスはもちろん授業中のため、小さな声でいろいろ話してくれた。


相手は男の人だけど、身なりが女の人だからなのか、私はすぐに明希ちゃんと打ち解けられた。

元は女子校だったし、やっぱり女の人(女装だけど)と話すのは気が楽。


「そういえば明希ちゃん。教室で言ってた『殴る人』って? 喧嘩?」

「違うわ。クラスに何人かいなかったんだけど、気がつかなかったかしら?」

「うん、それどころじゃなかったから」


最初も、竜也くんと帰ってきた時も。


「3人いなかったの。1人は、休みかしら。もう1人は体調不良で欠席。そしてもう1人は、ただのサボり」

「へぇー」


てことは、殴るのはサボってる人かな。


「ま、探すのはいつだってできるし、先に案内するからね。次行きましょ!」


おー!と小声で言う明希ちゃんに、私ははーい、と小声で返事した。


楽しい人だなぁ、明希ちゃん。

人は見た目で判断しちゃいけないね。

竜也くんも見た目は不良だけど、本当はいい人なのかな。
怖そうだけど。



「……ん?」


どこからか音が聞こえる。

これは、ピアノ?


「あら、来てたみたい」


明希ちゃんは音のする方向に行った。

私もそれについていく。


ついた先は、音楽室。

ここからピアノの音が聞こえるんだ。