転校して初めて受ける授業は、まさかの自習だった。

教科書とかはまだ届いてなかったから助かったけど…、何しようかな。


カバンの中を探ろうとすると、明希ちゃんに話しかけられた。


「ね、なっちゃん。今から校内探索に行かない?」

「校内探索?」

「ええ。ついでに探したい人もいるし。ね、自習だし、行きましょうよ!」

「うん、それは助かるんだけど…」


私は竜也くんを見た。

雰囲気から察するに、このクラスをまとめるのは竜也くん。

彼の承諾がなければダメな気がするけどー…。


すると、明希ちゃんは笑顔で竜也くんに許可を求めた。

竜也くんは頷いてくれた。
そして、一言。


「場合によっては殴れ」


なぐっ!!?


「私を!?」

「はあ? なんでお前を殴る必要があんだよ。他のやつだ」


あ…、なんだ。
びっくりした。


「ふふ、了解しました! さ、なっちゃん行きましょ!」


私は「殴れ」の意味を考えながら頷き、明希ちゃんと一緒に教室を出た。