「はーい、ストップ!」


その声で、男たちは話すのを止めた。

彼らの後ろから、長い髪の綺麗な人が出てくる。


「それ以上言うと、なっちゃんが混乱しちゃうでしょ? 見なさい、この放心した顔!」


明希ちゃんだ…。


「それに、そろそろ竜也が怒るわよ? ねぇ?」

「…別に」


竜也くんはそっけなく言った。


「でも」


そう続けた時、男たちはごくりと喉を鳴らした。

竜也くんは切れ長の目を彼らに向けた。


「10秒以内に全員席につけ」


……まさに、鶴の一声。

竜也くんの指示で彼らは引き潮のように一斉に席についた。


すご…。竜也くんって、何者なんだろう。


明希ちゃんはやれやれと首を振り、そして私に向かって手招きをした。


「なっちゃんはこっちの席よ。ウッチーに頼んでアタシと竜也の近くにしてもらったから、安心してね」

「あ、ありがと」


私の席は、窓際の一番後ろ。

竜也くんと明希ちゃんに囲まれているような席だった。