その後、パパの仕事が入ってしまって、私は竜也くんに連れられて教室に戻った。


なんで知らない方がよかったんだろ?

これと言って特に害はないような気がするけど…。


……それよりも、クラスでの私の席が少しだけ気になった。

竜也くんはなんと私と同じクラスで、しかも隣の席だという。

そして、さっきの美人……明希ちゃんは私の前の席だという。


本当にあれが女装なのかな?
かなり美人だったよ!?

…でも、声はけっこうハスキーだなぁとは思ったけど。

あれが男だったら、…私ボロ負けなんだけど。


もんもんと考えていると、先に行く竜也くんが教室のドアを開けた。

私も続いてこっそり入る。


すると、教室中の目がいっせいにこっちを見た。

…見るだけで、誰もなにも発しない。


クラスメイト(全員男子)VS私(女)の睨み合い勝負開始かと思いきや、横から感情のこもっていない、報告書を読む社員のような声が聞こえた。



「こいつ、理事長の娘だって」