「それで、すぐに転校できるならって思って来たけど……。男しかいないとは聞いてない!」
学校の様子は大雑把に言われて、生徒に関しては「みんな真面目でいい子」しか言わなかったし…。
ま、そこまで興味なかった私も悪いかもしれないけど、パパの学校なら問題ないだろうって思った私がバカだったのかな。
普通なら娘の心配して言うはずなんだけど!!
「それは謝るよ。でも大丈夫! なんてったって、私の学校の生徒だからね! それに夏海は可愛いから、すぐに学校のアイドルとして注目されるよ」
「女1人しかいないなら、そりゃみんな注目するでしょ…」
てか別にアイドルとかなりたくないし。
「それに、夏海が慣れるまでは神宮寺くんがついててくれるから。彼はすごく優秀で、他の生徒からも信頼が厚いんだよ」
竜也くんが優秀!?
こんな身なりで? 不良じゃないの!?
…あー、勉強できる不良ってやつかぁ。
信頼って言われても、他の生徒が脅されてるって可能性も……。
「ていうか、なんでパパが学校の理事長だって今まで言ってくれなかったの?」
ずっと気になっていたことを聞くと、パパは目を丸くした。
そして、また困ったように眉を下げて笑った。
「知らない方が、夏海のためだったからね」