「・・・・そうか・・・・まぁ、覚えてねぇけど」

俺は溜息をつく。

『なぁ。ちょっとだけ、だべってよーぜ』

彼は手招きしながら言う。

「・・・・分かった」

俺は彼に近付いた。

『そーだ!お前、俺のこと、ユウって呼べ!』

ぱんっと手を叩く。

「ユウ?何で?」

『ややこしいだろ?お前も俺も『夕輝』だし』

へらりと表情を崩す。

「・・・・だったら、俺も『ユウ』になっちゃうだろーが」

『いーじゃん?別に。俺は『夕輝』って呼ぶから、お前は『ユウ』って呼ぶんだ!いーな!』

腰に手を当て、ビシッと指を指しながら言う姿は、まるで子供のようだ。

「・・・・強制か?」

『強制だ!』

・・・・まるで、小さなリーダーだ。

「・・・・ふっ・・・・あはははっ!」

俺は思わず腹を抱えて笑った。

『なにがおかしい!』

ユウはほっぺを膨らます。

「別にぃー」