「…騙されたんじゃない?」

トルネが慎重に言葉を紡ぐ。

私は首から下げて服の中に隠したペンダントにされた石を一回握って気を取り直してからトルネに声をかけた。

「またせてごめんね。忘れ物見つかったよ。ほらっ。」

私はカモフラージュのためにつけたブレスレットを、男の人の目にも映るように見せた。

これはお母さんの形見だ。

「行こっ。」

私はトルネの腕を引っ張った。