ぐん、とうでを引っ張る桑山。
顔と顔が近い。
残り3cmほど。
「大胆だね、和葉ちゃん。」
『は?治癒能力をつかっただけだ。』
「ふーん。じゃあ次、此処にしてよ。」
そうして指さしたのは桑山の口。
『お前・・・。』
「なに?できないの?」
面白そうにこちらをみてくる桑山。
『私は口には怪我をさせた覚えはないぞ。』
「だってしてないし。」
『じゃあ、治癒は必要ないだろ。つか、近い。離せ。』
流石に、男子のちからにはかなわない。
「ここまでやっといて、いまさらお預けなんてむりだから。」
そういうと、顔が一気に近づいて、
目の前には桑山のドアップ。
唇には生暖かくて柔らかいもの。
『んっ!?』
それが桑山の唇と気づくのに時間はかからなかった。

