「はなしてっっ!!
恭夜が、恭夜が・・・きょう・・・や・・が・・・・」
「絶対はなさねぇ。」
しゃがみこんだあたしを見て
矢野くんは
「俺のものになんねぇの?」
「ならない」
「じゃあ、自力で奪うから。
多分、恭夜はこれで俺と蛍瑠が
グルっていう風にとったと思う。」
「なんで・・・?」
「キスを見せ付けるために、
呼び止めたとおもわれるでしょ、ふつー。」
なんで
矢野くんは
こんなに冷静なの?
「わざとなの・・・?」
「うん」
「最低。もう、どっかいって」
矢野くんに背中を向けた。
矢野くんの足音が聞こえなくなるまで
ずっとずっと
下を向いて 涙を我慢した。
