急いで

走って教室に向かった。





前がぼやけて


人にぶつかって



目の前にあった手は


暖かいぬくもり。




「大丈夫?」



「・・矢野くん・・・」



「どうした?」




「なんでもない。」




「じゃあ、なんで泣いてんだよ」




「泣いてない。」




グシグシとこする手を掴んで





ボソッと彼がつぶやいた




「好きな女が目の前で泣いんのにさ・・・


助けるな、なんてそんなつれーこと、ねぇから。」



「え・・?何?」




「ゆるさねー。恭夜、ゆるさねぇから。」