学校に着けばいつもどおりに啓がホームルームをして、授業が始まって……

結局いつもどおりの生活で。

1日が終わって……。

「菜々ぁ!今日帰り美味しいアイスのお店行く??」

彩……

「あー……ごめん、今日ちょっと用あって…」

「うそぉーん……。しょーがないなぁ…今日は先生に菜々を譲るわ…。」

「ごめんね?……って……あたし先生なんて一言も言ってないよね??」

「見ればわかる!……先生と……啓くんと……約束か何かあんでしょー?」

え、なんでバレてんの?

「今日の菜々ニヤニヤしててキモかったからね!笑」

「き、きも?」

「うそうそ!まぁ、私だってだてに菜々と付き合ってないわよ!じゃ、今度一緒行こうね?」

「……うん、ごめんね!バイバイっ!」

私は足早に家に帰った。


家に着いてとりあえず着替える。
出掛けるって言ってたけど……どこ行くんだろ……。
まぁ、普段着でいいよね。

今のうちにやれることやらなきゃ。
掃除、洗濯、食器洗い、宿題……
るとおお多いなぁ……

ひと仕事やり終えて時計を見ると7時をさしていた。

お腹すいたよぉ……。

啓……

早く帰ってきてよー!

そんな願いが通じたのか
ガチャっとドアを開ける音がした。

「ただいま!」

「もぉ!啓!お腹すいたよぉ!」

「ごめんな!そんな怒んなって、あ、菜々この服に着替えて。」

そう差し出されたのは紺のワンピースとアクセサリー。

「な、なに?これ、どーしたの?」

「いいから、早く着替えて行くぞ。」

なに?

なにが起こってるの?

「さっさと着替えないと……脱がせるぞ。」

「ぬっ、ぬ?」

そ、それだけは……。

「どーする?」

「き、着替えてきますっ!」

私は急いでワンピースに着替える。
なんでサイズピッタリなの?
こんな服あたし持ってないよ?

「着替えたー?」

「ま、まって、後ろのファスナーがっ……」

「はい、はい。」

そう言って啓がファスナーをあげてくれた。

「ネックレスもつけてやるから貸して。」

ネックレスをさし出すとすんなりつけてくれた。
そして私の首筋にチュッっと唇を押し付けた。

「ひゃぁん!」

「どんな声だしてんだよ笑 ほら、行くぞ!」

そう言って片手を出してくるから……
あたしはそっと啓の手を握った。

どうやら車で移動するらしい。

何か啓もおしゃれなスーツ着てるし。

どこ行くの?


車で10分くらい走ったあと……

着いたのは……

とある有名レストランだった。


「け、啓……?ここでご飯食べるの?」

「ん?そうだけど?」

「ここって……予約とれないことで有名だよね?それに……高いって……」

「心配すんなって。予約してあるし♪」

え?
予約してあるの?

お店に入るとウェイターの男の人が出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。」

「予約していた朝田ですけど…」

「お待ちしておりました。朝田様。窓側のお席をご用意させていただいております。では、こちらへどうぞ。」

ウェイターさんの後ろをついていく。

案内された席はガラス張りの高そうな席だった。

「料理の方は既に御予約済みですのでお待ちくださいませ。では、ごゆっくり。」

??
どゆこと?
ウェイターさんは奥へと消えていく。


「あの…………啓??」

「ん?」

「予約……………してくれてたの?」

「ん。ここ美味しいらしいよ。気に入ると思うけど。」

「…なんで?」

「……………………」

「啓??」

「失礼いたします。お料理をお持ちいたしました。」

私の声はウェイターさんにかき消された。

グラスにオレンジジュースが注がれる。

目の前には色とりどりの綺麗な料理が並ぶ。
それはどれも美味しそうで…………

「では、ごゆっくりお過ごしください。」

そう言うとまたまた奥へと消えていってしまった。


「……菜々…………。」

「ん?」

「……………1年間、ありがとう。」

「え?」

「1年間、俺のそばにいてくれて…ありがとう。ずっと愛を注いでくれてありがとう。」

……………………まさか……………

「ぁぁぁぁあ!!!」

「やっと…気づいたか………」

「き、き、記念日っ……………」

そうだ…。
丁度1年前。
私は啓と………付き合ったんだ。


「あのっ……………。」

「まぁ、忘れてるかなーとは思ってたけどな笑」

「ご、ごめんなさいっ!!」

「忘れててくれて助かったよ。」

「………ありがとう………啓…………」

「菜々…これからもずっと…………一緒にいような?」

………………………………
その言葉は………………

あたしを壊した。

「うっ、ふぇっ……………………けぇい……」

「泣くなって!菜々?好きだよ。」

「けぃ……………………あたしも……すきぃ……泣 大好きだよぉ……………………ずっと一緒にいるっ!」

「よろしくな!ほらー、泣くなっ!食べよ!」

「うんっ!」

私はきっと日本一。
いや、世界一。
……………………ううん。
宇宙一の幸せモノです。

啓がいるから私は…………

幸せなんだよ。