菜々side

ふぁぁ…………
もう朝?

横には啓がスースーと寝息を立てている。

ん?
あたし………
昨日……………。


あ!
えっちの途中で…寝ちゃったんだ…
正確には…まだしてないけど………

啓…………ごめんなさい…

私にはTシャツとパンツが着せられていた。
多分…啓が…着せてくれたんだね。

申し訳なさで胸がいっぱいになる。

そっと啓の背中におでこをくっつけてみる。

「………ごめんなさい…啓………」

「……別にいいよ」

??!?!???!!?

「け、啓?」

「なに、」

「お、お、起きてたの?」

「まぁな。」

……………………。

「…あの…ホントに昨日はごめんなさい…」

「…別にいいよ。そんなに俺の横は気持ちよかった?眠くなるほど笑」

「っ!あの……………。」

「まぁ、無理にするもんじゃないしな、そんな焦んなくてもいいんじゃねぇの?」

「え?……………どーゆーこと?」

「どーせ、周りの人間に影響されたんだろ?」

ギクッ………

バレてたの?

「菜々はゆっくり大人になればいいんだよ。」

…………………。

「……………子供って思ってるでしょ。」

「違うよ、そーゆー意味で言ったんじゃない。急ぎすぎて菜々を傷つけるのだけはしたくないんだ。わかって?」

…分かってる。
啓が私のこと大切にしてくれることも、愛してくれることも。

でもね?
やっぱりあなたは大人だから。

私じゃ物足りないんじゃないかって思ってしまうんだよ。

あなたは先生だから。

私は生徒だから。


私に触れることを…

拒んでるような気がしてしまうんだよ。


やば、泣きそう。


私は必死に涙をこらえた。

布団をギュッと握って耐えていた。

「菜々……?」

「…学校…………遅れちゃうよ?………あたし…シャワー入ってくる………。啓も行く用意するでしょ?」

自然に…
いつもどおりに。

そう心に言い聞かせて振舞ってみる。

「…………おぅ。」

その言葉を聞いて私はバスルームに駆け込み、シャワーを浴びながら泣いた。

自分でもなんで泣いてるのか分からなかった。
でも………悲しかった。
寝てしまった自分を責めると同時に
あの時起きていたら啓は本当に私を抱いてくれたのかな?
とか、
今まで啓から抱かれるような雰囲気にならなかったのはなんでだろう
って色んなことが頭をかけ巡っていた。


…………啓は…………………

私の彼である前に

私の先生であって

私は…啓の彼女である前に

啓の生徒なの。

その事実をなんとなく、実感させられた気がして…………

苦しかった。



「菜々ー?お風呂長いけど大丈夫か?倒れてないか?」

向こうから啓の声がする。

「うん!大丈夫っ!ごめん、長くて…」

「ん。大丈夫ならいいよ、朝ごはんあるから食べて学校来いな?悪いけど今日当番だから先学校行くわ。」

「あ、いってらっしゃい!ごめんなさい見送り出来なくて!」

「いーよ!いってきます。」

…………………
はぁ………………
見送りのキス出来なかった………

と、ゆーか今顔を見たら泣いてたことがバレてしまうし。

お風呂から上がって急いで制服に着替える。

テーブルの上には朝食があって………

いつもはない置き手紙。

菜々へ
今日の夜ご飯作らないで待っとけ。
ちょっと出掛けるから。
P,S,
鍵ちゃんと閉めてこいよ?
授業ちゃんと聞くよーに!


………?
出掛けるの?
外食かぁ………久しぶり。

授業いっつもきーてるし。
…………やっぱり子供扱いするんだから。

私はトーストをかじりながら
急いで学校の準備をして家をでた。