初めてをむかえてから
わたし達の恋愛は順風満帆。

季節は巡り巡って3月。
もうそろそろ高3になります。


「来月は受験生です。来年の今頃は大学が決まっている人が多数出ると思うからなー、まだ進路決まってないやつは真剣に考えろよ。」

啓が私達生徒に話す。

進路かぁ…………

正直お金ないし……
就職でもいいんだけどなぁ……

「菜々っ!菜々はもちろん大学行くでしょー?」

「彩……」

「国立?ってか、菜々くらい頭良かったら国立楽勝よねー」

「……正直まだ決めてないかな。」

「は?決めてないの?」

「……うん。お金ないし……正直何やりたいのかわかんないんだよね。」

「菜々………………菜々ならなんでもやれると思うのに……」

「…………あたし一人で決めていい問題なのか分かんないしね……」

「何言ってんのよっ!自分の進路でしょ?自分で決めなきゃ誰が決めんのよっ!」

そうだよね………………
でも……。

やりたいことがないわけじゃない。

少しずつ…将来について考えてる自分もいる。
でも……啓と離れたくないんだよね。


「…………彩……今日は……帰るね。……」

「っ菜々…………ごめっ、責めてるわけじゃないよ?」

「あ、大丈夫だよっ!気にしてないよ?今日は……家帰って…………勉強……」

「でた。菜々のガリ勉モード……。じゃあまた明日ねっ!」

「ばいばいっ!」



家に帰って即机に向かう。



「菜々……………………」

「菜々…………????おーい?」

突然肩を叩かれる

「…………????う、うわっ!啓……」

「ただいま。」

「お、おかえり…………。ごめんなさい……気がつかなくて……」

「いや、いいけど…………あれだな……菜々のガリ勉モード……久しぶりにみた。」

「あっ…………ご飯……食べるよねっ」

「菜々……」

ギュッ)
後ろから啓に抱きしめられる。

「………………啓??」

「菜々……何悩んでんの?」

え?

「菜々がガリ勉モードの時は何かしら悩みがあるときだからな。」

「……え……………………」

「悩んでんだろ?………………………………進路……………………。」

…………啓……………………。
なんで………………


なんで…………………………

なんで分かるの?


「…………やりたいこと……あんだろ?…………」

「っ啓は…すごいね……あ、あたしのこと…なんでも分かっちゃうんだ……」

「…………何でも俺に言えよ。一人で悩むな。」

そっと私の髪をすく。

「……………………。大学…………行きたいなって………………少しずつ…思ってきたの…」

「うん。」

「……じゅ、獣医にね…………なりたいなって…………」

「うん。」

「…………でも……あたしの………………行きたいところは……ほ……北海道なの。」

「うん。行ったらいい。お金なら心配しなくていいし、やりたいことやりなさい。」

「でもっ!………………啓と…………離れるって……考えられなくて…………」

「……菜々なら大学受かると思うし、獣医になれるよ?……俺となら卒業後にも会えるしな。でも……獣医になるチャンスは限られてるんだよ。」

「……うっ……で、でもっ…………寂しい………………啓の…………そばに……いたぃ……」

グイッ)
手を引かれて寝室までくる。

「…………。菜々。愛してる。大丈夫だ。俺はお前を忘れないし、変わらず愛してるんだ。」

チュッ)

首筋にキスが落とされる。

私の目には涙がたまった。