俺は泉 朱(しみず しゅう)

訳あって前通っていた高校を退学し
明日から家から一番近いこの私立高校に
転入する

今日はその下見だ

、、、と言っても屋上庭園にずっといる


「綺麗だな」


心が汚い俺にでも、素直に綺麗だと思うくらい
本当に綺麗だ

そんな雰囲気のなかでうとうとと
眠りにつこうとすると

入り口の方から何やら
バタバタと慌ただしい音が聞こえてくる


「、、、っるせーな」


俺は見つかると面倒なので一番人目に
つかないベンチで寝ることにした


『そうちゃんの授業は休もう』


泣いてるのか?
小さく聞こえてきたその声は
喉の奥から絞り出されたように掠れ、
震えていた

俺はいつの間にか草木の間から覗いていた

そこにはボブで色素の薄い髪に
真っ白な肌、黒目がちの目
いかにもお嬢様って感じの女が居た


『そうちゃん』


と呟く女の視線の先には授業をしている
若い男

あれが“そうちゃん”か、、、


「、、、わしたい」


無意識に言葉がでた

この一途そうな女を見ていると
俺の高校生活を最悪ににした
あの女と被さって、めちゃくちゃにしたくなる

全部
壊したい


『朱、大好き』

『朱は私のものでしょ?』

『朱、ずっと一緒だよね』

『別れるなんて、許さないから』


目をつぶれば、思い出すアイツの声、顔
俺はそれを断ちきるように眠りについた