「さむっ」


私は4月の少し冷えた風で目を覚ました
いつのまにか寝てたんだ、、、

時間を確認しようと携帯の画面を見ると


『15:30』


ん??見間違い??
何度も目を擦って何度も見返すけど


『15:30』


え、、、


「ええええええええええーーーっ!」


どうしよう、どうしよう!!


「、、、ぷっ」


私があたふたとしていると
どこかから笑い声が聞こえた

その声の聞こえる場所をさがして
辺りを見渡した


「だれですか??」


そこには黒髪で長身、眼鏡をかけた
みるからに“真面目”な人が居た

しかし眼鏡越しの目は横長できりっとし
細く通った鼻に、薄く口角の上がった口と
こんな人をみんなはイケメンと言うのだろう

と、一人で分析していると


「ずっと寝てたんだ??」


片方だけ口角を上げ、
笑いながら私に問いかける
、、、感じ悪っ


「ねっ、寝てません!!!」

「ふーん」


私が反抗するとさらに目を細めて笑う彼
絶対この人は俺様だ!
負けないんだから!!


「、、、あなた誰なんですか?!」

「俺?おしえなーい」

「はっ?」


この人はなんなんだ?
俺様なのか?不思議系なのか?
あまり関わらないようにしよう。
私はひっそりと心に決めた


「まあ、いいです!私戻りますので」


早足で出口に向かって歩いていると


「よろしくね!春ちゃん!」

「な、ななななんで知ってるの?!」

「ふっ、刺繍」


得意気に私の胸元に指を指す

私の学校の制服はグレーのセイラー服で
真っ赤なスカーフに胸ポケットには
金色の糸で名前が刺繍されている


「勝手に名前呼ばないでっ!」


私は恥ずかしくなり
走って屋上庭園を出ていった


『ふふっ、可愛いな。春ちゃん』


私はこの時はまだこの人がどんな人なのか
知らなかったんだ