「眠い」

寒さで悴んだ手で素早くツイートすると無造作に突っ込んで置いた音楽プレーヤーを取り出した

眠い眠いねむい

イヤホンから適当に選択した音楽が流れ始めた

「こんな曲いついれたんだろう」

自分の趣味に疑いを覚えつつ変な歌詞を連呼し続ける歌に耳を傾けた

ようやく来た電車はいつもと同じで空いていた

電車の揺れが気持ちがいい

青いランプが点滅しているケータイを無視して目を閉じた

山中 菜々

それが私の名前

対した特徴もなく付けられた呼び名は「なな」がほとんど

もう少し特徴があればいいのにな

でもあっても疲れちゃうよね

このままでいいや


友人からよくマイペースだのおっとりしてるだの、天然だの言われる

いいじゃないか

何で生き急ぐのか私にはわからない

ゆっくり生きたい

ただめんどくさいだけだけれど


いつの間にか変わっていた歌の向こうから聞き慣れた駅名が聞こえてきて私はうっすら目を開けた