振り返るとそこには真帆がいた。
相変わらずしつこい女。
「おはよー爽馬。
見つけたから声かけちゃった。
一緒にいこーよ!」
勘弁してくれよ。
「やだって言っても着いてくるんでしょ?
ご勝手にどーぞ。」
俺はスタスタ歩き出す。
真帆なんておかまいなしだ。
「爽馬、なんでそんな冷たいのー?
昔は優しかったのにー。もう」
「もうお前の彼氏ではありません。」
「なんでよ。また昔みたいに一緒に学校行ったりしよーよ。
楽しかったじゃん。あの頃ー!」
こいつ本気で行ってんのか?
「お前さー。
俺がサッカーで怪我してから
そっこー俺のこと捨てたよな?
そんで違う他校の有名なサッカー部のやつと
すぐ付き合ったじゃん。」
これは本当の話。
俺は練習で大怪我をしてから
少しサッカーから遠ざかっていた。
リハビリの毎日。
当然試合にも出れず。
一時期、森重爽馬の名前は消えた。
そして1番支えて欲しかった彼女には
「今は怪我を治すことだけに専念して。」
と、うまい具合に良い言葉を並べ
捨てられた。
そして他校の有名なサッカー部のやつと
付き合いだした。
苦しい思い出はこいつのせいで蘇る。
「あの時はどうしていいかわからなかったの。
今は爽馬のこと1番近くで応援したいって思ってるよ。」
相変わらず口がうまい。
こーやって引っかかっていく男ども
「勘弁してくれ。
俺はもうお前とは関係ないんだよ。
より戻すことは考えてない。じゃ」
校門に着いた俺は一目散に教室に向かった。
朝から胸糞悪かった。
