人形を持っている手を上にあげ、
「私はあんたのものじゃないっ!」

「だから何?」

カナリアのような澄んだ声。

その声に、上を見る。

「――セーラ…」

ニコリと、唇の端をあげるのは、死んだはずのセーラ。

人形じゃない、人間の彼女。

「そんな…」

こんなバカなことが、あるはずがない。

けど、目の前にいるのは、死んだはずのセーラ。

上にあがったままの私の手を握っているセーラ。

躰が宙に浮いているのは…私の幻覚?

黙っていたら、セーラの唇が動く。

「だってマーリは、私の親友でしょ?

ずっと、一緒にいてくれるんでしょ?」