「マーリさ、裏ではひどいことやってるらしいよ?」

昼休みのトイレ。

個室の中にいた私の躰が、ビクッと震えた。

聞き耳を立てたのは、人間の本能か。

「気に入らない子を体育館の裏に呼び出して、その子をボコボコにするんだって」

「うわ、それひどくない?」

「逆らったら不良グループがくるんだって」

「えー」

「しかもその不良グループにさ、貢いでるらしいよ?

マーリって」

身の覚えのない、私に関する噂たち。

その噂を流したヤツは、もちろん知っている。

そうやって、私の周りを誰もいなくさせようとしてる。