「…そんな作り笑いしたって無駄だぞ」

「・・・・」

社長は、私の作り笑いなんて、いとも簡単に

見破ってしまう。


「須藤、一体何のことだ?美麗の事だ。

アポなしで会社に来ただろ?お前は要件を知ってる筈じゃ?」


「…あいにく、席を外していたので、

僕にはわかりかねます…」

真顔で言った須藤を見て、社長は溜息をついた。


「2人して、シラヲきろうってんだな?

・・・ったく、まあいい・・・」

そう言った社長は、次の仕事の資料を取り出し、

書類に目を通し始めた。


…とりあえず、その場は丸く収まった。

こんな事、社長に知られるわけにはいかない。

契約も、絶対破棄させない。


…蒼空との関係は、今夜限りで終わらせる。

そう決意して、私は窓の外に目を向けた。