彼氏契約書

「ねぇ、蒼空」

「・・・なんですか?」


「…何で抱かなかったの?」

「・・・・」

私の質問に、黙ったまま、こちらを見つめる蒼空。

・・・その目に耐えきれなくなった私は、ムクッと起き上った。


「聞かなかったことにして」

「美緒さん」

「・・・・」

ベッドを抜け出そうとした私を、

蒼空は後ろからギュッと抱きしめた。

私はただ黙って、動けない。



「抱いてほしかったですか?」

「・・・別に」


…本当は、どこか期待してる自分がいた。

…蒼空は、本当は私の事が好きで、昨晩だって、抱きたかったんじゃないかって。


「…僕は、仮の彼氏ですから。

美緒さんを抱いたりしません」


・・・そんな事、分かってる。