彼氏契約書

・・・その日の晩、

蒼空は本当にずっと私の傍にいた。

だからと言って、私を抱く事はしない。

『猫』のように、狭いシングルベッドに丸まり、

私を抱きしめるように眠りにつく。


…私が仮の彼女だから抱かないのか?

…それとも女としての魅力がないからなのか?


スヤスヤと眠る蒼空を、早朝目覚めた私は、

しばらく見つめていた。


「…おはようございます」

「?!・・・おはよ」

突然目をパチッと開けた蒼空が、私を見てニコッと微笑んだ。

一瞬ビクついた私だったが、小さく朝の挨拶を返す。


「美緒さんの抱き心地、いいですね」

「なっ///」


蒼空の一言一言に、イチイチ赤面する自分が恨めしい。


「フッ…可愛いな」

「うっさい・・・」