彼氏契約書

…こんなに私は悩んでいると言うのに。

「何で須藤はそんなに普通なの」

「・・・え？」


…そう。目の前で、次々に淡々と仕事をこなしているこの男。

仮の彼氏、須藤蒼空。


私の呟きに、全く意味不明という顔でこちらを見た。


「…なんでもない、少しは元気は出たのね？」

そうやって仕事を普通にしてるんだから。


「はい、美緒さんに言われて、今朝早く社長には部下として、

謝罪したらスッキリしましたし、・・・それに」


「・・・何？」

言いかけて止めた蒼空は、私を見て、ニコッと笑った。

私は怪訝な顔で蒼空を見つめる。


「美緒さんの、熱～いキスで、元気貰いましたから」

「///!!」

蒼空の言葉に、予想通り顔を真っ赤にした私を見て、

蒼空はにんまり笑った。


「…また、お願いしますね？」

そう言うと、蒼空は何食わぬ顔で専務室を出ていった。