「わざわざ家まで送ってくれて、ありがとう」

そう言ってはにかんだ美緒。

その少し恥ずかしそうな顔に、簡単にやられてしまう程、

彼女に夢中な自分が少し可笑しかった。


マンションの中に入ろうとする美緒を、僕は瞬時に

後ろから抱きしめた。


…どうしたら、この想いは届くのだろう。

正面から好きだと言えない自分が恨めしかった。


「…蒼空?」

突然抱きしめられ、一瞬固まった美緒だった・・・が。

その行動に、思わずドキリとした。


僕の手を優しく掴んだ美緒は、ほんの少しだけ、手に力を込めた。

その柔らかな手に・・・。

温かなぬくもりに、自分の気持ちが一気に溢れ出した。


誰もいないのを良い事に、

僕は美緒をこちらに向け、熱い口づけをする。

・・・そのキスを、美緒は抵抗することなく受け入れた。


それに驚いたのは、僕の方で、

美緒をそっと離した。