「では、契約の前に、そちらを聞きかましょうか?

その後に、契約をするかしないか、判断させていただきますね」


…数秒の沈黙の後、私はようやく重い口を開いた。


「彼とはもう、男女の仲ではありません」

「そう・・・で?」


「ですから、今は上司と部下と言う関係になりました」

「・・・・」


「・・・でも、貴女は、それだけじゃ物足りないと思われるでしょうから、

明日から2年間、私は日本を離れます」


「?!!」

思ってもいなかったんだろう。私の言葉に、目を見開いた美麗社長。


「それだけ離れれば、互いの気持ちは変わる。

貴女は、思う存分、須藤に言い寄れるでしょう?」


「…仕事は?…貴方はあの会社にとって、大事な重役だと社長が言ってたわ」

「…社長の許可は貰っています。勉強し直して、一から・・・

また専務として、働かせていただく予定です・・・ご心配なく」



「…須藤君への気持ちは、…貴女にとっては、それっぽっちのモノだったのね?」

「・・・・そんなわけ」