彼氏契約書

「美緒さん、この書類の意味を教えてください」

そう言って、書類をデスクに置いた。


「…そのままの意味だけど?」

僕を見つめ、真顔で答えた美緒さん。

その事でさらにイラつく。


「昨晩のあれはなんだったんですか?

オレを好きだと言ったのも、何度も抱き合った事も、

すべて嘘で、演技だったんですか?」


「・・・・」


「オレには、美緒さんの気持ちが分かりません」


「…そうよ、すべては演技、嘘っぱちよ・・・

だから忘れなさい・・・私への気持ちも、何もかも・・・

私は貴方の上司で、貴方は、私の部下、その関係に戻っただけ。

仕事に私情は挟まない・・・こうでもしなきゃ、須藤は私を嫌いになれないでしょう」


そう言った美緒さんは、困ったような笑みを浮かべた。


「美緒さんオレ「ちょっといいか?」

「「・・・・」」

まだいくらでも話したいのに、邪魔が入った。