この愛に抱かれて

家の周りの道は、なんとなく覚えていた。


祖父の恵慈と2人で、毎日のように散歩していたからだ。



15分ほど歩いたところで、小さな川に突き当たった。



川幅が5メートルくらいの流れの緩やかな川だった。


護岸工事がされていた川は比較的新しいものだった。


川沿いの土手には舗装された遊歩道があった。


等間隔に立てられた電灯の明かりが、まるで響子を導いているかのように遠くまで続いていた。



響子は下流に向かって歩きはじめた。